サブカルチャーとヴィレッジバンガードの興亡 〜都市型カルチャーが語る時代の変遷

サブカルチャーは長年、都市と深い関わりを持ち、ユニークな空間を作り出してきました。しかし近年、社会の変化に伴いサブカルチャーは大きな変革を迫られています。このブログでは、サブカルチャーの歴史と都市との関係、代表的な存在であるヴィレッジバンガードの発展と現状、サブカルチャー衰退の背景など、さまざまな角度から考察していきます。
1. サブカルチャーと都市の関係
サブカルチャーの存在と都市の結びつき
サブカルチャーは長い歴史の中で都市の一部として広がり、書店、映画館、カフェなど都市の街と密接に関わりながら形成されてきました。都市は芸術家たちにとって交流の場でもありました。例えば、岡本太郎はフランスでジョルジュ・バタイユとの交流を求めて渡航したことがあります。
時代の変化と都市型カルチャーの崩壊
しかしながら、時代の変化に伴い、都市で育まれてきたカルチャーの概念は崩れ、サブカルチャーも次第に消失していきました。例えば、ヴィレッジバンガードの業績低迷は、高額なライセンス料金による複合施設への出店やキャラクターグッズの販売などが原因とされています。
ファミリー層への対応と複合施設への出店
しかしながら、都市型カルチャーの衰退により、ファミリー層への対応を求め、サブカルチャーは複合施設への出店を余儀なくされることもありました。つまり、ヴィレッジバンガードの衰退は、都市型カルチャーに関連するサブカルチャーの崩壊から生じたものと言えます。
サブカルチャーの崩壊とホワイト化の進行
サブカルチャーの崩壊の背景には、岡田斗司夫氏が指摘する社会のホワイト化があります。2022年には、かつては公然の秘密とされていた出来事もメディアによって広く告発され、社会のホワイト化が進みました。ホワイト化とは、公正で清廉なものしか認めず、汚いものを忌避する傾向や価値観を指します。
露悪的な慣習や文化の排除
社会のホワイト化の進行に伴い、露悪的な慣習や文化は徐々に排除されつつあります。かつては、日本の文化には陰を含めた美しさが重視されていましたが、現在では真っ白な状態でなければ多くの人々に受け入れられない傾向があります。
インターネット時代におけるサブカルチャーの変化
都市型のサブカルチャーが衰退し、カルチャーの主要な舞台はインターネットに移行しました。現在のカルチャーの形態も大きく変わっています。今後、機会があれば現代のカルチャーの形についても触れていきたいと考えています。
2. ヴィレッジバンガードの起源とサブカル色
ヴィレッジヴァンガードは1986年に名古屋市天白区で菊池敬一氏が創業した本屋です。当初は書籍販売を中心に展開していましたが、次第にキャラクターグッズや生活雑貨なども取り扱うようになりました。店内はまるで迷路のように、種々雑多な商品が陳列されており、手書きの奇妙なポップがべたべたと貼られていました。
ヴィレッジヴァンガードは90年代から2000年代にかけて、「サブカル」という言葉が一般化する頃には、サブカルチャーを象徴する場所として注目を集めるようになりました。王道の漫画だけでなく、アンダーグラウンド系やアウトロー系の漫画や雑誌、哲学書、近代文学まで幅広いジャンルの作品が並ぶ書棚は、多くの文化好きを魅了しました。ヴィレッジヴァンガードはサブカルチャー的な教養に触れることができる文化的な空間として、多くの人々に愛されました。
ヴィレッジヴァンガードの店舗は、都市のあちらこちらに点在しており、その近くには小さなカフェやバーがありました。街にはヴィレッジヴァンガードに限らず、キュレーション型の書店やサブカルチャーやアートを中心に扱った店舗が並び、カルチャーに造詣が深い人々が集まる場所となっていました。さらに、ヴィレッジヴァンガードの周辺には座席数の少ないミニシアターや作家性の強い作品を上映する映画館もありました。
ヴィレッジヴァンガードは都市において、書店やミニシアターなどのカルチャー色の濃いコンテンツがキュレーションされ、それを求めて訪れる人々がカフェやバーに集うという構図がありました。このような独自の魅力があり、都市のサブカルチャーシーンを盛り上げていました。
ヴィレッジヴァンガードの起源とサブカルチャーへのこだわりは、現在でもその一部が残っているものの、最近では店舗展開や商品構成に変化が見られます。これについては後のセクションで詳しく取り上げます。
ヴィレッジヴァンガードの起源とサブカルチャーへのこだわりは、ヴィレッジヴァンガードの魅力の一部であり、多くのファンにとっても重要な要素でした。しかし、今後の時代の変化によって、ヴィレッジヴァンガードがどのように進化していくのか、注目が集まっています。
3. サブカルチャーの衰退と複合ショッピングモールへの出店
サブカルチャーは、従来の都市型のカルチャーシーンとは異なり、エロティック、グロテスク、バイオレンスなどの要素を含む傾向があるため、一般的なショッピングモールでは生き残ることが難しいとされています。サブカルチャーはメインカルチャーではないため、一部の人々からは悪趣味や変態趣味と見なされることもあります。
サブカルチャーを陳列・販売する際には、ショッピングモールのオーナーやマネージャーが商品に口出しすることがあります。その結果、サブカルチャーは本来の姿からはずれ、既に『サブカル風』の店舗として認識されることがあります。入店する際には若干の勇気が必要であると言われるほど、サブカルチャーは一般的な大衆向けのショッピングモールでは受け入れられにくい存在となっています。
また、インターネットの普及により、情報が容易に入手できるようになったことも、サブカルチャーの存在を薄れさせています。かつて思春期の個人が資料や本を探し、音楽や文化を深掘りする行為は、インターネットの普及により、5分で検索することが可能となりました。このような行為は、もはやサブカルチャーではなく、別の形で定義づけられていくのだと言われています。
一度は全国的なチェーン店となり、イオンモールにも出店するようになったヴィレッジヴァンガードですが、これによりサブカルチャーの終焉を迎えたとされています。しかし、地方都市の個人商店から何かが生まれる可能性もあり、再びサブカルチャーが息を吹き返すことが期待されています。
最近ではヴィレッジヴァンガードの店舗数が減少しており、特に書籍やCDの取り扱いが少なくなっています。一方で地方のイオン系列の店舗が増えていることも事実です。ヴィレッジヴァンガードがサブカルチャーを担っている部分はどれほどのものなのか、疑問が投げかけられています。
首都圏の店舗は「こだわり」の宝庫として知られ、多くのサブカル好きのファンが訪れる場所となっています。しかし、売り上げの低下などの厳しい状況下で、ヴィレッジヴァンガードがどれほどサブカルチャーを支えられるのかは定かではありません。
ヴィレッジヴァンガードの業績の悪化は、リアル店舗の生き残りが厳しくなっている現代の流れの一環と言えます。とりわけ、複合ショッピングモールへの出店やキャラクターもののグッズ販売により、ライツ料金がかさんだことが一因とされています。また、少子高齢化によりファミリー層をターゲットとした複合施設が増えており、ヴィレッジヴァンガードも出店を余儀なくされたのかもしれません。
しかしながら、サブカルチャーの衰退は単なる業績の悪化だけでなく、社会のホワイト化という要素も関与しているとされています。現代社会では汚いものや露悪的なものが忌避され、公正でキレイなもののみが受け入れられる傾向が見られます。カウンターカルチャーの一環であるサブカルチャーも、社会のホワイト化によって衰退の一途をたどっているのかもしれません。
以上のように、複合ショッピングモールへの出店や社会のホワイト化の進行により、サブカルチャーは衰退していっています。その一方で、インターネットを活用した新たなカルチャーの形が生まれつつあります。今後のサブカルチャーの行方には注目が集まります。
4. サブカルチャーの商品化・大衆化の影響
サブカルチャーは、メインカルチャーとは異なる要素を含んでおり、エロティシズムやグロテスクな要素、バイオレンス、悪趣味、変態趣味などが含まれることが多いです。そのため、サブカルチャーの商品やコンテンツを陳列・販売することは、一般のショッピングモールのテナントには適さないと言えます。
ショッピングモールに出店する場合、モールオーナーやマネージャーが店舗の商品に口出しをすることがあるため、サブカルチャーの本来の姿が保たれなくなってしまいます。その結果、一部のサブカルチャー要素が取り入れられることで、サブカルチャー風の雰囲気を持つ店舗になってしまいます。
また、一般的なショッピングモールは家族連れや子供連れの顧客をターゲットとしていることが多いです。そのため、サブカルチャーショップでは入店時に少しの勇気が必要となることがあります。しかし、一般のショッピングモールでは、誰でも気軽に入店できるような状況を作る必要があります。
さらに、インターネットの普及により、サブカルチャーの情報やコンテンツが容易に入手できるようになりました。検索エンジンを使えば、情報を探すために特定の店舗に行く必要もなくなりました。このような状況がサブカルチャーの特異性を失わせ、深掘り行為がサブカルチャーとは別の形で定義づけられていく可能性があります。
さらに、ヴィレッジバンガードの業績の悪化も、サブカルチャーが商品化や大衆化された結果の一つと言えるでしょう。ヴィレッジバンガードはかつてサブカルチャーの担い手として注目される存在でしたが、書籍やCDの取り扱いが減少し、路面店も減少しているという現実があります。
これに対して、地方のイオン系列などの大手店舗においては、ヴィレッジバンガードのようなサブカルチャーコンテンツの取り扱いが増えています。これは、都市型カルチャーが衰退し、ファミリー層を顧客とする複合施設への出店が増えた結果と言えるでしょう。
サブカルチャーの崩壊の一因は、日本社会のホワイト化の進行とも言われています。昔は文化・芸術の世界では露悪的な慣習が一般的であったものの、現在の社会では清廉潔白さが重視され、公然の秘密とされていたものまで徹底的に断罪されるようになりました。
さらに、サブカルチャーの商品やコンテンツが大衆化・商品化されることで、かつてのようなサブカルチャー独特の雰囲気や奥深さが失われる可能性があります。サブカルチャーは本来、一部の人々にのみ受け入れられるものであり、他のカルチャーとは一線を画していたのです。
しかし、これらの変化によって、サブカルチャーは衰退し、カルチャーの主戦場はインターネットに移り変わっています。現在のカルチャーの形は大きく変わりましたが、それでもなお、地方都市の個人商店などから新たなサブカルチャーが生まれる可能性があります。これからもサブカルチャーの可能性を探求し、新しいカルチャーを創り出していくことが求められるでしょう。
5. ネット時代におけるサブカルチャーの行方
ネット時代の到来により、サブカルチャーの行方も大きく変わってきています。インターネットがカルチャーの主戦場となり、その形も大きく変化しました。
インターネットの影響
インターネットの普及により、情報のアクセスが容易になりました。以前は書店や映画館など特定の場所でしか手に入らなかった情報や作品も、ネット上で簡単に見つけることができるようになりました。これにより、サブカルチャーに関心を持つ人々は、より広範な情報に触れることができるようになりました。
ソーシャルメディアとコミュニティの形成
ソーシャルメディアの出現により、サブカルチャーの愛好者同士が簡単に交流することが可能になりました。特定のコミュニティやグループに参加し、共通の興味や趣味を持つ人々と交流することができます。これにより、地理的な制約を超えたコミュニティが形成され、情報や意見の交換が活発に行われています。
クリエイターとファンの関係
インターネットの発展により、クリエイターとファンの関係も変化しました。以前はメディアや出版社を通じてクリエイターとファンが接触することが一般的でしたが、現在は直接的なコミュニケーションが可能になりました。クリエイターは自身の作品をネット上に公開し、ファンとのコミュニケーションを通じて直接的なフィードバックを得ることができます。
ネット配信とサブカルチャーの拡散
ネット配信の普及により、サブカルチャーの作品やコンテンツがより多くの人々にアクセス可能となりました。映画や音楽、アート作品など、従来は限られた場所でしか鑑賞することができなかったものが、インターネットを通じて世界中に拡散されるようになりました。これにより、より多様なサブカルチャーの表現やクリエイターが目に触れる機会が増え、新たなサブカルチャーの形成が加速されています。
インターネット時代におけるサブカルチャーの可能性
ネット時代においては、サブカルチャーの形はますます多様化しています。インターネットを活用した表現やコミュニケーションの手法は、従来の枠にとらわれることなく自由な発展を遂げています。また、地理的な制約が少なくなったことで、より多くの人々がサブカルチャーに触れる機会を得ることができるようになりました。
しかし、一方でインターネットの普及により、情報の過剰供給や情報の信憑性の問題も浮き彫りになっています。真偽が明確でない情報や不正確な情報が広がるリスクもあります。そのため、ネット時代においてもサブカルチャーの発展には注意が必要です。
結論
ネット時代におけるサブカルチャーの行方は、まだ明確には定まっていません。インターネットの普及により、サブカルチャーはますます多様な形で表現され、新たなコミュニティが形成されています。しかし、情報の過剰供給や信憑性の問題も存在し、それに対する適切な取り組みが必要です。ネット時代においても、サブカルチャーの発展を促進し、より多くの人々が参加できる環境を構築していくことが求められています。
まとめ
ネット時代におけるサブカルチャーの行方は、多様性と不確実性が共存する複雑な状況にあります。インターネットの発展は、情報へのアクセスを容易にし、クリエイターとファンの関係を直接的なものへと変化させました。一方で、情報の過剰供給や信憑性の問題も生み出しています。今後のサブカルチャーの発展には、これらの課題に対し適切な取り組みが求められます。ネット時代においても、サブカルチャーが新たな形で発展し、より多くの人々が参加できる環境の構築が重要であると言えるでしょう。